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監修:東静脳神経センター
順天堂大学医学部附属 順天堂醫院脳神経内科 
横山 和正 先生

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NMOSDの発症メカニズム

NMOSDは血清中の抗アクアポリン4抗体(抗AQP4抗体)という自己に反応する抗体が関与する自己免疫疾患です。多くのNMOSD患者さんの血液の中に抗AQP4抗体があることがわかっています(抗AQP4抗体陽性)が、抗AQP4抗体がないNMOSD患者さんもいます(抗AQP4抗体陰性)。
視神経や脊髄、脳などの中枢神経に存在する神経細胞は、アストロサイトという細胞に支えられています。アストロサイトの足突起にはアクアポリン4(AQP4とよばれる細胞への水の通り道となるタンパク質が豊富にあります。NMOSD患者さんの身体の中でつくりだされた抗AQP4抗体がAQP4にくっつくことで補体が攻撃的になります。これにより、アストロサイトが破壊され、その後、神経細胞髄鞘(ずいしょう)も破壊されることで症状を引き起こします。

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NMOSDの発症メカニズム
  1. 形質細胞と形質芽細胞から抗AQP4抗体が産生される
  2. 血液脳関門のない部位では抗AQP4抗体が血管のすきまから脳内へ侵入する
  3. アストロサイト上のAQP4に抗AQP4抗体がくっつく
  4. 補体が攻撃的になる
  5. 攻撃的になった補体がアストロサイトに膜侵襲複合体(MAC)をつくり、アストロサイトを破壊する
  6. アストロサイトが破壊されることで、髄鞘も破壊される
  7. また、攻撃的になった補体によって、血管内から食細胞が呼び寄せられる
  8. 食細胞がアストロサイトや髄鞘を食べて神経細胞を壊す

難病情報センター 多発性硬化症/ 視神経脊髄炎(指定難病13)

日本神経学会監修. 多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023. p8.